LCワールド本巣の現在!玉ねぎ無人販売の末路と跡地再開発の全貌
広大なフロアの真ん中に、ポツンと置かれた長机と1個100円の玉ねぎ――。2016年秋、SNSを震撼させ「世界一シュールなショッピングモール」として全国的な話題となった岐阜県本巣市の大型商業施設「LCワールド本巣」。あれから年月が経過した今、あの異様な空間はどう変化を遂げたのでしょうか。
ネット上では今なお「今も廃墟のまま放置されているのではないか」「取り壊されて広大な更地になったのか」といった憶測が飛び交っています。本稿では、かつて一世を風靡した巨大モールの誕生から衰退、奇妙な無人販売騒動の舞台裏、そして解体を経て劇的な再生を果たした現在の現地の姿まで、調査報道の視点から徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:玉ねぎ無人販売で話題となった本館の建物は完全に解体され、現在はディスカウントスーパー「ラ・ムー本巣店」を中核とする実用的なオープンモールへ生まれ変わっている。
- 要点2:衰退の主因は近隣に誕生した超巨大モール「モレラ岐阜」との競合とテナント撤退の連鎖であり、玉ねぎ販売は大店立地法等の制約下で営業実績を維持するための苦肉の策だった。
- 要点3:「ピエリ守山」のような全館リニューアル型ではなく、過大な箱モノを解体して平屋主体の近隣型商業施設へとダウンサイジングを図ったことが現在の堅調な再始動につながっている。
【玉ねぎモールの末路】LCワールド本巣の現在はどうなったのか?
結論から言えば、かつてネット上で「廃墟モール」「玉ねぎモール」と呼ばれたLCワールド本巣の本館建物はすでに現存していません。奇怪な光景として語り継がれたあの吹き抜け空間や巨大な屋内通路はすべて重機によって取り壊され、過去の遺物となりました。
では現在、その広大な敷地はどうなっているのでしょうか。現地を訪れると、ゴーストタウンの面影は一切なく、大黒天物産が展開するメガディスカウントスーパー「ラ・ムー本巣店」が堂々と営業を続けています。かつての閉鎖的なエンタメ型大型モールから、駐車場を囲むように平屋の店舗が並ぶオープン型の近隣商業施設(ネイバーフッド型ショッピングセンター)へと構造そのものが根本から転換されたのです。
敷地内には食料品スーパーだけでなく、ドラッグストアや均一ショップ、飲食チェーンなどが実用的な動線で配置されており、週末には近隣住民が日用品を買い求める活気ある生活拠点として機能しています。「廃墟として立ち入り禁止になっている」という噂は完全に過去の話であり、現地は極めて健全な日常の風景を取り戻しています。

歴史と経緯|リオワールドの誕生からテナント撤退・ゴーストタウン化まで
この土地がたどった栄枯盛衰のドラマは、地方郊外型商業施設の盛衰史そのものです。時計の針を巻き戻すと、この施設の歴史は1992年(平成4年)にオープンした「真正リオワールドショッピングセンター(リオワールド真正)」に始まります。
当時はアパレル大手のリオ横山ホールディングスが開発・運営を手がけ、敷地面積約10万平方メートルという広大なスケールを誇っていました。開業当初は岐阜県内でも屈指の規模を誇るショッピングセンターとして、ボウリング場や映画館「シネックスリオ」といったアミューズメント施設を完備。週末ごとに家族連れでごった返す地域一番のエンタメスポットでした。
しかし、2006年(平成18年)に転機が訪れます。わずか5キロメートルほど北の至近距離に、圧倒的な規模と最新テナントを揃えた超巨大モール「モレラ岐阜」が開業したのです。この巨大黒船の来航によって、リオワールドの客足は目に見えて激減していきました。
シネマコンプレックスや有力アパレルテナントが次々と流出・撤退し、客足の減少に拍車がかかる負のスパイラルに突入。2011年(平成23年)9月、運営母体は不動産再生を手がけるロジコムへと売却され、名称も「LCワールド本巣」へと改称されました。しかし、一度失われた集客力を取り戻すことはできず、空きテナントのシャッターが目立つ痛々しい光景が常態化していったのです。
なぜ玉ねぎ1個だけ売られていたのか?廃墟化と解体理由の真相
LCワールド本巣の名を一躍全国区にしたのが、2016年(平成28年)に巻き起こった「玉ねぎ無人販売騒動」でした。広大な本館フロアからほぼすべてのテナントが消え去り、エスカレーターも停止、照明すら半分落とされた薄暗い空間に、突如として出現したのが「玉ねぎの無人販売台」でした。
長机の上にダンボールが置かれ、ビニール袋に入った玉ねぎが1玉100円で売られているだけ。そのシュールすぎる光景は、廃墟愛好家やネットユーザーによって撮影され、SNS上で爆発的に拡散されました。当時、現場を目撃した来訪者たちの証言や手記には「異次元に迷い込んだような異様な静寂」「広大な空間に漂う微かな玉ねぎの匂い」といった生々しい記録が残されています。
しかし、なぜこのような事態に陥ったのでしょうか。その背景には、商業施設を巡る法制度と契約の縛りがありました。関係者の証言や商業コンサルタントの分析によると、大規模小売店舗立地法(大店立地法)に基づく届け出上の手続きや、敷地内で営業を継続していた別棟テナントとの契約関係を維持するため、「本館を完全に閉鎖せず、形式上だけでも店舗として営業実績を残す必要があった」という大人の事情が存在していたのです。
営業実態を辛うじて維持するための極限の策が、あの玉ねぎ販売でした。しかし、そうした綱渡りの延命措置も長くは続きませんでした。2016年10月25日、大規模小売店舗の廃止届出等を経て本館は完全に閉館。老朽化した巨大な空きビルを維持するコストは莫大であり、再生の見込みがない箱モノを抱え続けるリスクを断ち切るため、最終的に建物の解体が決定されたのです。

【データ比較】LCワールド本巣vsピエリ守山|明暗を分けた再生戦略の違い
地方モールのゴーストタウン化といえば、滋賀県守山市の「ピエリ守山」が同様にネット上で大きな脚光を浴びました。しかし、両者が辿ったその後の命運は大きく異なります。両施設の再生戦略と結末の違いを客観的データから比較検証します。
| 項目 | LCワールド本巣(岐阜県) | ピエリ守山(滋賀県) | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 開業時期・初期業態 | 1992年(広域型エンタメSC) | 2008年(広域型モール) | LCは平成初期設計、ピエリは平成中期設計という世代差 |
| 最盛期の競合環境 | 至近距離(約5km)に「モレラ岐阜」開業 | 草津・大津エリアのイオンモール等と競合 | 本巣は超至近距離での直接衝突が致命傷となった |
| 話題となった現象 | 無人のフロアに玉ねぎ1個の販売 | テナント数店舗で「明るい廃墟」化 | どちらもSNS時代初期のバイラル現象として拡散 |
| 選択した再生アプローチ | 本館解体・NSC型(平屋型)へ転換 | 建物を全面改修・外資ファストファッション誘致 | 本巣は身の丈に合わせた減築、ピエリは再投資による大刷新 |
| 現在の運営ステータス | ラ・ムー等を核とする生活密着型SC | レジャー・温泉施設を併設した複合モール | どちらも形を変えて廃墟状態からの脱却に成功 |
ピエリ守山が「琵琶湖畔の景観」というロケーション特性を活かし、建物構造をそのまま流用して外資系ファストファッションや温浴施設を誘致する広域集客型モールとして蘇ったのに対し、LCワールド本巣は「過剰な箱モノを思い切ってスクラップする」というリアリズムを選びました。近隣にモレラ岐阜が存在する以上、同じ土俵で戦うことを潔く諦め、日常使いのディスカウント業態に特化したことこそが、本巣における最大の勝因でした。
【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
現在、生まれ変わった現地は地域住民にどのように受け止められているのでしょうか。買い物を日常的に利用する地元住民や、かつてのリオワールド時代を知る古くからの利用者の声をリサーチすると、リアルな実情が浮かび上がってきます。
現場を訪れる近隣住民からは、次のような評価が多く聞かれます。
「昔のリオワールドは映画を見たり服を買ったりする特別な場所だったけれど、モレラができてからは行く理由がなくなっていた。でも今のラ・ムーになってからは、とにかく食料品が安くて24時間開いているから、週に何度も利用している」(本巣市内在住・40代主婦)
「本館があった頃の末期は、薄暗くて子供を連れて入るのが少し怖いくらいだった。解体されて平屋の駐車場直結型になってからは、車を停めてすぐ店内に入れるので、シニア世代にとっても格段に買い物がしやすくなった」(本巣市近郊在住・60代男性)
SNS上などでは「玉ねぎモールがなくなって寂しい」というサブカルチャー的な面白がり方を惜しむ声も一部で見受けられますが、生活者目線で見れば、「使えない巨大な廃墟」から「便利で安価な生活拠点」への転換は大歓迎されているのが実情です。かつての吹き抜け空間が持っていた華やかさはありませんが、車社会である岐阜の生活様式に完全にマッチした施設へと脱皮を遂げています。

一般に知られていない盲点とネットの誤解
LCワールド本巣の現在について、インターネット上の情報にはいくつかの顕著な誤解や盲点が存在します。ここでその真相を整理しておきましょう。
誤解1:「LCワールド本巣」という商業施設自体が完全に消滅した?
施設名称としての「LCワールド本巣」は、本館解体後もエリア全体の総称や別棟区画の管理上、完全に消去されたわけではありません。登記やテナントの住所表記、商業区画の呼称としてその名残を残しながら、実態としてはラ・ムーを中心とするショッピングゾーンとして機能しています。「施設が跡形もなく消滅して更地の荒野になった」という認識は誤りです。
誤解2:玉ねぎ販売はディベロッパーの完全ないたずらだった?
ネット上では「管理会社のユーモア」「炎上商法を狙った奇策」などと語られることがありますが、先述の通り、その実態は大規模小売店舗立地法に基づく営業実態の維持という極めてシビアな法務上の判断が絡んでいました。法律上の要件を満たすための苦肉の策が、結果としてインターネットの格好のネタとして消費されたというのが実相です。
【プロの結論】地方大型商業施設のダウンサイジング戦略に見る教訓
LCワールド本巣が辿った道のりは、日本の地方都市が直面している商業インフラの過剰供給問題に対して極めて示唆に富む教訓を与えています。平成のバブル崩壊前後に各地で量産された「大型屋内モール」は、人口減少と少子高齢化、そしてEC市場の拡大という構造変化に耐え切れなくなっています。
ここで重要なのは、「身の丈に合わない過剰な設備を抱え続けることの構造的リスク」です。無理に全館を維持しようとすれば、共益費や空調代、固定資産税が重くのしかかり、玉ねぎ販売のような異常事態を招くことになります。LCワールド本巣の再生モデルが示したのは、以下の明確な判断基準です。
【再生が成功する施設と失敗する施設の決定的な差】
- 失敗するパターン:過去の成功体験に囚われ、商圏人口に見合わない広域集客型(アパレル・シネコン複合型)の復活に固執し、空床を埋められずに放置する。
- 成功するパターン:自施設のポジショニングが競合に敗れた事実を早期に認め、過大な床面積を解体・減築して、地域住民の毎日の胃袋を支える日常必需品特化型(ディスカウントスーパー・ドラッグストア)へ舵を切る。
建築物としての華麗なモールは姿を消しましたが、事業再生の観点から見れば、LCワールド本巣は「見栄を捨てて実利を取った極めて現実的で賢明な幕引きと再出発」を果たした事例として評価されるべきです。
【lcワールド本巣 現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:現在の跡地に行って、かつての玉ねぎ売り場を見ることはできますか?
A1:見学することはできません。玉ねぎ無人販売が行われていた本館の建物は完全に解体・撤去されており、敷地は整地されたのち、平屋建てのスーパー「ラ・ムー本巣店」や駐車場として整備されています。
Q2:かつての映画館(シネックスリオ)やボウリング場はどうなりましたか?
A2:映画館やボウリング場を含むエンターテインメント施設は、モレラ岐阜の開業などに伴う経営悪化の中で早い段階に閉館し、現在は建物ごと解体されており存在しません。
Q3:なぜ近隣のモレラ岐阜に勝てなかったのですか?
A3:真正リオワールドは1990年代初頭の設計であり、駐車場の動線や館内構造が当時の規格でした。一方、2006年に誕生したモレラ岐阜は広大な敷地に最新のファストファッションやシネコン、大型フードコートを備えた現代型メガモールであり、規模・店舗数・体験価値のすべてにおいて圧倒的な差が生じたためです。
まとめ:廃墟モールの伝説を越えて日常を取り戻した本巣市の今
広大な空きフロアに置かれた1個の玉ねぎから始まったネット上の騒乱劇は、本館の解体と新たな商業エリアへの転換によって完全にひとつのピリオドを打ちました。かつて「廃墟モール」と好奇の視線に晒されたその場所は、いまや地域の人々の食卓を支える安価で便利な買い物拠点として、力強く息づいています。
奇妙な光景の裏にあったのは、地方都市における激しい商業競争と、法律の狭間で苦闘した関係者たちの現実でした。過去のノスタルジーやネット上の神話に惑わされることなく、現地が選んだ「縮小と実利」という再生の形こそ、これからの成熟社会における地方商業施設のリアルな最適解と言えるでしょう。 (出典: lcワールド本巣 現在(Yahoo!ニュース))