F-35の日本と韓国の違いとは?配備数や整備拠点格差の真相を解説
東アジアの安全保障環境が急速な変容を遂げるなか、航空自衛隊と韓国空軍が主力戦闘機として導入を進めるステルス戦闘機「F-35ライトニングII」を巡る比較論が、防衛関係者やミリタリーファンの枠を超えて大きな注目を集めています。同じ米国ロッキード・マーティン社が開発した第5世代戦闘機でありながら、運用思想から機体バリエーション、さらには後方支援体制に至るまで、日韓の間には驚くほどの構造的格差が存在します。
ネット上では「同じ機体なのに何が違うのか」「韓国のF-35は日本で整備されるのか」といった疑問や臆測が絶えません。2026年現在の最新配備状況を踏まえ、公表資料や防衛当局のデータ、現場の動向をもとに、両国の決定的な違いとその舞台裏を多角的に解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:日本は通常離着陸型のF-35A(105機)に加え、短距離離陸・垂直着陸が可能なF-35B(42機)の計147機を導入するのに対し、韓国は空軍向けF-35A(計60機規模)に特化し、機種構成と総数で倍以上の開きが生じている。
- 要点2:日本は三菱重工小牧南工場に国内最終組立・検査(FACO)およびアジア太平洋地域のリージョナルデポ(重整備拠点)を保有するが、韓国は全機完成機輸入であり、重整備を国外に依存する兵站上の制約を抱える。
- 要点3:洋上航空阻止能力を担ういずも型護衛艦の空母化改修が進む日本に対し、韓国の軽空母導入計画(CVX)は停滞が続いており、F-35を中核とした統合運用構想の成熟度に明確なコントラストが出ている。
【なぜ話題に?】F-35の日韓比較が注目される背景と根本的な違い
F-35をめぐる日韓の比較論がこれほど熱を帯びる最大の理由は、単なる「兵器の保有数自慢」にとどまらず、両国の防衛産業基盤の強靭さと対米同盟における軍事・技術的立ち位置の違いが如実に反映されている点にあります。
一見すると、両国ともに米国の最先端ステルス機を主力機に据えている点では共通しています。しかし、その導入プロセスを分解すると、アプローチは正反対です。日本は1機あたりの初期調達コストがかさむことを承知で、国内製造業の技術維持と将来の改修自立を目指して国内組立や整備拠点の誘致に巨費を投じました。一方の韓国は、老朽化したF-4やF-5戦闘機の退役穴埋めを急ぐため、価格と早期実戦配備を優先して完成機の直接輸入(FMS:対外有償軍事援助)を選択しました。
この初期戦略の違いが、配備から数年を経た現在、稼働率の維持や最新規格「ブロック4(Block 4)」へのアップデート能力、さらには海洋進出への対応力といった運用格差となって表面化しています。ネット上で日韓の比較が繰り返される背景には、機体そのものの性能差ではなく、「国家として戦闘機システムをいかに支え、使いこなすか」という軍事ロジスティクスの深層に迫る議論があるためです。

【2026年最新配備状況】F-35A導入機数とF-35B垂直離着陸機に見る日韓軍事力比較
両国の航空戦力を定量的に比較する上で、最も明確な指標となるのが調達機数と機種のバリエーションです。防衛省および韓国防衛事業庁の公表データに基づき、2026年時点の最新状況を精査します。
日本の航空自衛隊は、最終的に合計147機体制(F-35Aが105機、F-35Bが42機)を計画しています。青森県の三沢基地における配備完了に続き、石川県の小松基地など日本海側の要衝へのF-35A配備が進捗。さらに宮崎県の新田原基地を拠点とするF-35B飛行隊の編成が進み、南西諸島の防空体制は抜本的に強化されつつあります。
特筆すべきは、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」「かが」のいずも型空母化改修との連動です。艦首形状を四角形へと変更し、甲板の耐熱塗装を施す第2段階改修を経た護衛艦において、空自F-35Bの本格的な艦上運用試験が展開されており、洋上航空阻止能力は新たな次元に突入しました。
対する韓国空軍は、第1次導入事業としてF-35Aを40機導入し、忠清北道の清州基地に配備を完了しました。その後、北朝鮮の弾道ミサイル脅威に対抗する「キルチェーン」の中核として、第2次事業で20機の追加導入契約をロッキード・マーティン社と締結し、計60機規模への拡充を進めています。
しかし、機種構成において日本と決定的に異なるのは、垂直離着陸機(STOVL)であるF-35Bを保有していない点です。文在寅前政権下で推進された「韓国軽空母導入計画(CVX)」は、搭載機としてF-35Bの導入を前提としていましたが、政権交代に伴う防衛費配分の見直しや費用対効果の疑問視により、計画は大幅な凍結・再検討を余儀なくされました。その結果、韓国のF-35戦力は陸上基地運用型のA型に純化されています。
【データ徹底比較】F-35における日本と韓国の仕様・契約・運用基盤一覧
両国の調達形態や整備環境の違いを客観的に把握するため、主要な比較項目を一覧表にまとめました。数値および運用形態は、各国防衛白書、米軍発表資料、防衛装備庁の公開データを総合したものです。
| 項目 | 日本(航空自衛隊) | 韓国(韓国空軍) | 編集部の見解・分析 |
|---|---|---|---|
| 最終予定導入機数 | 計147機 (A型:105機 / B型:42機) | 計60機 (A型:60機 / B型:未定・凍結) | 日本の総数は韓国の約2.5倍。米国、英国に次ぐ世界有数のF-35大艦隊を形成。 |
| 調達・製造方式 | 国内最終組立(FACO) ※初期輸入機を除く大部分 | 米本国完成機輸入 (フォートワース工場製) | 日本は三菱重工での組立を通じて機体構造やシステム統合のノウハウを国内蓄積。 |
| 重整備拠点(デポ) | 国内保有 (三菱重工小牧南工場) | 国内なし (海外デポへの移送が必要) | アジア太平洋北部の整備ハブを日本が獲得。韓国機の重整備先を巡る政治的火種に。 |
| 洋上航空運用 | 実用化推進中 (いずも型護衛艦改修) | 計画停滞 (CVX構想の予算削減) | 日本は離島防衛と外洋防空を視野に多次元統合防衛力を具現化。 |
| Block 4改修対応 | 国内デポで順次対応可能 (改修スケジュールの自主管理) | 米軍枠・豪州デポ枠に依存 (順番待ちのリスク) | 電子戦能力向上やJSM等新規ミサイル統合の速度で日本が圧倒的優位に立つ。 |

【国内組立と整備拠点】三菱重工小牧南工場のFACOとリージョナルデポの決定打
日韓のF-35運用において、軍事専門家が最も注視するのが「重整備能力(リージョナル・デポ)」の有無です。この差が平時の稼働率や、有事における作戦継続能力を根底から左右します。
日本は導入初期から多額の防衛予算を計上し、愛知県にある三菱重工業小牧南工場に最終組立・検査ライン(FACO:Final Assembly and Check-Out)を立ち上げました。一時は調達価格の高騰を理由にFACO廃止論が浮上したものの、防衛省は国内基盤の維持を選択。その結果、米国防総省からアジア太平洋地域北部の機体整備拠点(リージョナル・デポ)に指定されるに至りました。エンジン整備拠点についても、IHIの瑞穂工場が担当しています。
一方、韓国はこのFACOライセンス生産を獲得せず、テキサス州フォートワースの工場で製造された完成機をそのまま導入しました。この決定により初期購入費用は抑えられたものの、F-35のような極めて機密性の高いステルス機は、ステルス塗膜の再塗布や主翼・胴体の分解検査といった高度な重整備を米国認定のデポでしか受けられないという契約ルールが存在します。
ここで持ち上がったのが、いわゆる「韓国F-35の整備問題」です。地理的に最も近いアジア太平洋北部の整備拠点は日本の小牧南工場ですが、韓国世論や国内政治の反発から「自国の最新鋭戦闘機を日本の防衛産業に預けて整備させる」という選択肢は事実上受け入れられません。結果として韓国軍は、太平洋を越えて米国本国に機体を送るか、あるいはもう一つのアジア太平洋南部拠点であるオーストラリアのウィリアムズタウン(BAEシステムズ)へ長距離回航せざるを得ない構造的ジレンマに直面しています。
【実態検証】稼働率と部品不足のリアル|現場が直面する兵站の壁
ステルス戦闘機の真の戦力は、カタログスペック上の保有機数ではなく、「今、何機が即座にスクランブル発進できるか」という現場の稼働率によって決まります。この点において、日韓双方がグローバルなサプライチェーンの混乱に直面してきました。
韓国国会の国防委員会で公開された監査資料や報道によると、韓国空軍のF-35Aは導入初期から数年間にわたり、部品不足による飛行不能状態(G-LOCやミッション不能状態)が断続的に報告され、メディアで「稼働率危機」として大きく取り沙汰されました。ロッキード・マーティン社が提供する自動兵站情報システム「ODIN(旧ALIS)」の不具合や、世界的品不足による交換部品(LRU)の調達遅延が直撃したためです。自国内に重整備拠点を一切持たない韓国軍にとっては、不具合が生じたパーツを海外へ送り、修理完了を待つターンアラウンドタイム(整備所要時間)の長さが稼働率低下を加速させる要因となりました。
一方、日本も部品不足と無縁ではありません。三沢基地での過去の墜落事故や世界共通の部品サプライチェーンの遅延など、厳しい試練を経験しています。しかし、国内の現場観察と防衛関係者の証言によれば、「自国内の小牧南工場に技術者と設備が存在する安心感と即応性」は計り知れないメリットをもたらしています。不具合の発生時にメーカーの技術陣が国内現場に常駐・連携し、機体を海上輸送することなく自国内で分解・診断・修理できる体制は、部隊の士気と実質稼働率の維持に大きく貢献しています。
さらに現在進行形で進む最新規格「ブロック4」への改修においても、この差は歴然です。ブロック4では新型プロセッサーやレーダー性能の強化、長距離対艦ミサイル「JSM(ジョイント・ストライク・ミサイル)」の運用能力などが付与されますが、日本は国内デポを活用して自国の防衛スケジュールに合わせた改修が可能です。海外拠点への依存を余儀なくされる韓国と比べ、アップデートの機動性において極めて有利なポジションを確保しています。

一般に知られていない盲点とネットの誤解
日韓のF-35を巡っては、ネット掲示板やSNS上でセンセーショナルな噂が独り歩きしているケースが多々見受けられます。流布している誤解の真相を整理します。
誤解1:「韓国軍のF-35は、いずれ日本の三菱重工で整備される?」
ネット上で最も頻繁に議論されるテーマですが、防衛政策の実務上、韓国空軍の機体が日本のデポで整備される可能性は極めて低いのが実情です。米軍の運用規定上は地域ハブの利用が推奨されるものの、最終的な契約は国ごとの協議に委ねられます。韓国防衛当局は豪州デポの利用や、将来的には自国内での限定的な整備能力獲得(デポではなく定期点検レベルの拡充)を模索しており、国民感情や政治的リスクを冒して日本へ機体を送る選択は現実的ではありません。
誤解2:「日本のF-35は独自の高性能パーツが積まれていて、韓国機より強い?」
「日本仕様と韓国仕様では機体性能が全く異なる」という言説も一部に存在しますが、これも事実誤認です。F-35は厳格なソフトウェア統制下にあるため、機体構造、アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)レーダー「AN/APG-81」、エンジン「F135」の基本推力などは日韓で同一です。差が生じるのは、統合される兵装の種類(日本が導入するJSMなど)や、自国のレーダー網・早期警戒管制機(E-2D等)とリンクさせる戦術データリンクの連携環境、そして前述した改修スピードです。機体単体の「カタログ値」ではなく、「作戦ネットワーク全体」において日本の運用能力が優位を築いているというのが真相です。
【プロの結論】防衛産業基盤とロジスティクスが勝敗を分ける理由
現代の航空戦における勝敗は、戦闘機単体のドッグファイト性能ではなく、「継戦能力(サステナビリティ)」によって決まります。武器を購入する際、初期費用を安く抑える「買い切り型」のアプローチは平時の一時的な数値目標を達成するには適していますが、有事や長期運用においては必ず兵站の破綻を招きます。
日本が選択した「国内産業を巻き込み、製造・整備基盤を自前で保持する」アプローチは、初期コストこそ莫大であったものの、運用開始から10年近くを経てその圧倒的な投資対効果を証明しつつあります。戦闘機を運用するという行為は、機体を買うことではなく、機体を整備し、改修し、進化させ続けるシステム全体を保有することに他なりません。日韓のF-35の格差は、まさに国家の防衛哲学とサプライチェーン戦略の差が具現化した結果と言えます。
【f35 日本 韓国 違い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本のF-35と韓国のF-35で、空中戦の性能自体に違いはあるのですか?
A1:機体の基本スペック、ステルス性能、エンジン出力、基本レーダー機能に日韓での違いはありません。どちらも同じF-35Aブロック3F等の基本仕様で納入されています。ただし、将来的な「ブロック4」への改修速度や、日本が導入する長距離対艦ミサイル「JSM」をはじめとする搭載火器のラインナップ、早期警戒管制機(E-2D)とのデータ連携度合いによって、実戦での総合戦闘力には差が生じます。
Q2:韓国のF-35は日本の三菱重工(小牧南工場)で整備を受ける計画があるのですか?
A2:公式な計画はありません。三菱重工小牧南工場は米国防総省からアジア太平洋北部の公式リージョナル・デポに指定されていますが、韓国の世論や政治的判断から、韓国軍機はオーストラリアの整備拠点を利用するか、米国本国への移送を行う方針が取られています。
Q3:F-35B(垂直離着陸機)は韓国でも導入される予定ですか?
A3:現時点では白紙に近い状態です。前政権時代には「軽空母(CVX)」建造に伴いF-35Bを約20機導入する構想が存在しましたが、予算の削減や優先順位の変更により軽空母計画そのものが大幅に見直されており、2026年現在、韓国軍によるF-35Bの正式な発注は行われていません。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
F-35をめぐる日本と韓国の違いは、導入機数の多寡(日本の147機対韓国の60機)やF-35Bの有無だけにとどまりません。国内に組み立て(FACO)と重整備(リージョナル・デポ)の産業基盤を根付かせた日本と、完成機直接輸入による迅速配備を優先した韓国という、防衛産業戦略の根本的な分岐点にこそ本質があります。
今後は、電子戦機能や長距離兵装統合を強化する「ブロック4」への改修が本格化します。自国内の小牧南工場で柔軟かつ迅速に機体改修を進められる日本に対し、海外デポの枠組みに制約を受ける韓国がどのように稼働率と最新能力を維持していくのかが焦点となります。ネット上の噂に惑わされることなく、サプライチェーンと運用基盤という兵站(ロジスティクス)の視点から情勢を見極めることが重要です。 (出典: f35 日本 韓国 違い(Yahoo!ニュース))